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琵琶湖博物館収蔵品ギャラリー

私の逸品

総括学芸員 博物館学 布谷 知夫

木材プレパラート

最近は考古学ブームだそうで、各地から話題性の高い遺跡が発掘され、ニュースで大きく取り上げられている。そうした中で木材の製品や柱などが出土すると、「クリの木で作られた柱」などとニュースで流されている。さて、あの樹種はどうしてわかるのかと疑問に思われたことはないだろうか。

 大部分の場合はその木製品をカミソリで薄く切って色を染め、生物顕微鏡で観察し、同定するのであるが、そういう図鑑が販売されているわけでもなく、基本的には自分で森から木を切ってきて、比較するためのプレパラートを作り、同定の練習をすることになる。つまり決め手はプレパラートの種類数といえるかもしれない。

 私は教えを受けた先生に勧められて、約800種類の樹木プレパラートを研究資料として作ってきた。一人で作った種類数としてはあまり例がないのではないかとひそかに思っている。そしてこれまで遺跡の調査(古環境復元)や、全国の民家の構造材の樹種と周囲の森林相との比較などの研究を行ってきた。写真はそのプレパラートの顕微鏡写真である。見るからに美しいでしょう。


ス ギ(撮影:布谷知夫)


ケヤキ(撮影:布谷知夫)

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