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 中世人になってお待ちしています。

近江の国 中世なんでも探検隊 前田 雅子

 琵琶湖博物館の「近江の国 中世なんでも探検隊」に参加して1年になります。遺跡や史料、絵巻物から見える中世庶民の暮らしを体験するこの活動は、私にとってドキドキワクワクの連続でした。
picture  麻の茎を細かく裂いて、糸を作ることから始まった機織りでは、こんなに労力を費やしていたのかと、中世の生活の大変さを感じたものです。それが勧請縄やヨシ葺き屋根をつくる中で、縄の結び方ひとつにも技と工夫があることを知り、「恐れ入りました」と脱帽。生活技術に敬意をいだくようになりました。
 すり鉢を作っていた時です。粘土紐を一段一段積み上げるだけでも苦労していたのですが、粘土がイメージしていたとおりに動くと感じる瞬間がありました。無心に粘土を積み上げる心地よさと、土との一体感で、私は初めて作品に対する愛着を感じたのです。
 私の仕事(クラシック音楽)ではなまの音を重視します。ですから演奏は1回きりの勝負であって、「もの」を作品と考える感覚はありません。でも、このすり鉢は私の作品です。客観的に見ればつまらない作品かもしれませんが、製作をとおして、中世にまた一歩近づいたような気がするからです。
 私たち「中世なんでも探検隊」が夏から秋の企画展示室でお待ちしております。皆さんも、中世の近江をぜひ覗きにいらしてください。
(中世なんでも探検隊については2ページを参照)




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