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どこでも博物館

中国のカワウ事情

主任学芸員(鳥類学) 亀田 佳代子



東洞庭湖の鵜飼のカワウ。中国では鵜飼にカワウを使う。十数羽のカワウが、湖岸にある漁師の家の庭先で休んでいた。
 昨年8月、私は中国を訪問する機会を得、湖南省東洞庭湖と香港マイポ自然保護区でのカワウ事情を見てきました。
 長江流域にある東洞庭湖は、カリガネ(ガンの仲間)をはじめとする多くの水鳥の越冬地として知られています。ここでは、鵜飼のカワウと出会うことができました。お会いした漁師さんは、夏は漁網、冬は鵜飼で魚を捕るのだと教えてくれました。
 一方マイポ自然保護区は、マングローブ林と干潟、そして基囲(ゲイワイ)と呼ばれる伝統的なエビ養殖場が広がる汽水域です。シギ・チドリ類やクロツラヘラサギなどの水鳥が、ここを越冬地や中継地として利用します。その一方で、最近ではカワウによる養魚池の食害が懸念され始めました。そのため、池にひもを張ったり、安価なティラピアを集めてカワウ専用の餌場を作ったりして、より高価な魚の食害を防ぐ工夫がなされていました。
 日本とはひとあじ違ったカワウや水鳥との関わりかたは、琵琶湖での鳥と人との関わりを見つめ直す良い機会となりました。




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