まず、踏み入れたあなたの足元に関西国際空港があります。床一面のタイルに焼きつけられているのは、1万分の1縮尺の精密な航空写真。どうぞ、そのまま大阪湾から淀川(宇治川・瀬田川)をさかのぼって琵琶湖まで歩いてください。ビルや家屋ひとつひとつの形が確認できます。頭を上げ、再び全体を見渡してみれば、思いのほか「狭い」ことに気づくのではないでしょうか。
この40年あまりのいわゆる「高度経済成長」は、湖の環境と人のくらしに対して驚くべき変化を招きました。実際に生活が営まれていた湖東の農家を丸ごと移築・再建し、昭和30年代末を想定して復元した展示へは、できるだけ年齢差のある家族もしくは知人とお入りください。
こうした人の生活様式も含め、滋賀にすむ生きものに関する調査が、博物館の活動の一環として開館前から実施されています。それら調査結果の継続的な発表の場もかね、生き物にとって「よい環境とは何か」を考える展示をめざしました。
トンネル水槽を見上げれば、琵琶湖の湖底をダイビングしながらゲンゴロウブナやコイたちと戯れている錯覚さえおぼえます。『琵琶湖の主』といわれるビワコオオナマズや回遊するビワマスなどにあいさつした後は、ホンモロコやタナゴなど小さな魚たちに話しかけてください。また、巣をつくる魚や音を出す魚など個性あふれる魚たちの習性は見のがせません。
さらに、イトウやアユモドキなど日本の稀少淡水魚や天然記念物の魚たちに出会った後は、中国やアフリカ・北米などの湖の淡水魚とそこに住む人びととの関わりを見ていただきます。