Go Prev page Go Next page

琵琶湖博物館収蔵品ギャラリー

私の逸品

学芸員 古植物学 木田千代美

これは、ただの木の根っこじゃないよ

今から約180万年前(鮮新世後期)の地層の中から発見された立木の化石です。幹の長径が最大180cmもある巨木で、樹齢400年前後と推測されています。地層から露出したばかりの幹の断面を見ると、弾力性があり瑞々しいくらいです。種類は、材組織の構造や同じ地層から産出している球果化石から、スギ科のメタセコイアだと考えられています。

 メタセコイアは、現在中国西南部にだけ分布している落葉針葉樹です。約1億年前に出現し、北半球に広く分布していましたが、その後姿を消してしまいます。日本からは約80万年前に絶滅したようです。

 このような立木化石は、古琵琶湖層群の甲賀累層・蒲生累層が分布する野洲川や愛知川などの河原で、幾つも確認されています。

 『180万年前、川や沼地が広がる平野に、巨木がそびえ立っていた。』この立木化石は、まさに、太古の森の存在を教えてくれる証拠と言えます。当時の様子は、自然史展示「ゾウのいる森」で体感することができます。

-4-

Go Prev page Go Prev page Go Next page