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琵琶湖博物館展示交流員
『つい先日のことでした、丸子船を半世紀ぶりに作って下さった船大工の松井三四郎 さん(八十六才)が、ひょっこりB展示室の丸子船の前に顔を出して下さいました。突然 の事でしたが、「みなさ~ん!丸子船を作って下さった松井さんがお見えで~す!」と、 声をかけますと、展示室にいらっしゃったお客様がたくさん集まって下さり、松井さんに 大きな拍手を送られたのでした。後は、松井さんの丸子船作り人生のお話にくぎづけ、感 動的なひとこまでした。』
この三年間、私達は実にさまざまな出会いがありました。赤ちゃんからお年寄りに 至るまでの幅広い年齢層の方、それにさまざまな職業の方、目の不自由な方や車椅子でお 越しの方、また外国からのお客様など、毎日いろいろな方にお会いできることに私達は喜 びを見い出しています。そういう私達展示交流員もフレッシュな二十代から熟年の六十代 まで各年代層が揃っていて、なかなかバラエティに富んでいます。共通していえることは 、みんな「琵琶湖(自然)と人間が好き!」というところでしょうか。
私達の仕事は、日常の安全管理や非常時の避難誘導はもちろんですが、なによりも お客様との交流が大切なのです。交流という仕事にはマニュアルがなく、一人一人の個性 が生かされています。学芸員の方から伝授頂いている展示物の説明や裏話などを参考にさ せて頂き、展示物のふるさとに実際に出向いての体験談などもおりまぜて、お客様とお話 させて頂いています。始めはこちらの方から展示のお話をしてきっかけ作りをしますと、 次にはお客様の方からどんどん話が出され、その方の得意分野や地域のことなど逆にずい ぶん教えて頂く事があります。それが私達の楽しみでもあるのです。
「だまっちゃいられない博物館」などと、うまい表現をされた方がありましたが、「語りたい」と言う欲求を起こさせる展示が多いからかも知れません。ずいぶん多くのお客様からお話をお聞かせ頂きました。特にC展示室の「農家」では、なつかしく思い出され、どれだけ多くのお年寄りがご自身の半生記などを涙ながらに話して下さった事でしょう。そして、お子さんやお孫さんに昔の話をしておられる姿を度々目にしますが、家族同志の、時には来館者同志の交流があるところにすばらしさを見出しています。
改めて、この農家を提供して下さった冨江さんご一家に深く感謝申し上げます。
![]() 丸子船交流デスクでもお待ちしております |
![]() トンネル水槽にて交流中 |
私達はあちこちの展示コーナーをまわりながら担当していますが、前の展示室で楽しくお話させて頂いた方とばったり他の展示室でお会いした時に「先程はどうも」と声をかけて頂いた時はことのほかうれしく、展示室の垣根を越えて、また続きの話が出来る所に、「湖と人間」というテーマを持つ博物館のよさを見い出しています。また、お客様から「おもしろかった。」「また、来るネ。」「助かりました。」など心温まるお言葉を頂いた時は、しみじみと交流員をやっていてよかったと思うのです。
交流員の句を紹介します。
そしてたまたま博物館へお越しになった「ついで様」が、今度はゆっくり楽しみたい、もっと知りたいと思って再度博物館へ足を運んで下さる「その気様」になって頂いて、琵琶湖や地域の自然などに目を向けていただければこんなに嬉しいことはありません。
朝のお仕事、プランクトン採集 | 「こちらが今日のプランクトンです」 |
私達はお客様にどんな小さな事でも、何か新しい発見をしていただければと願っています。そのためのお手伝いならよろこんでさせて頂きます。どうかお気軽にお声をかけて下さい。
出会いと発見、そして感動がいっぱいの琵琶湖博物館へどうぞお越し下さい。
展示交流員の選んだおすすめスポット
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博物館おすすめ利用法
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この特集の作成にあたり、展示交流員各自の思いを聞いた上で編集しました。
編 集:青木伸子、荒井紀子、福井明美
写真撮影:大西直樹、吉村仙二郎、内藤又一郎
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