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琵琶湖博物館収蔵品ギャラリー

私の逸品

学芸員中藤 容子(民俗学部門担当)

琵琶湖水系の漁労用具

琵琶湖とそこへ注ぐ河川をすべて包み込む滋賀県。その各地で使われてきた漁労用具が2,000点あまり、琵琶湖博物館の民俗収蔵庫に収蔵されています。これらは、伝統的な技や知恵を記録するために、昭和53年から5年間、滋賀県教育委員会が行った漁労習俗の調査を機に、現在まで収集されてきたものです。

 魚をとる道具としては、わな式の漁具が数多くあります。湖や川に簀を立てて魚を誘い込む大仕掛けの“エリ”や、割竹を編んだ円筒型のかごに返しをつけた筌(ウケ=モンドリ、ウエなど)・コイタツベ・エビタツベ、円筒状に編んだ網に返しの網をつけたアミモンドリ、ガラス製のビンツケなど、300点近くあります。その他、コイトアミ(刺網)や投網などの網漁具、さで網や竹かご(ドンジョケなど)のすくい漁具、オウギ、押し網といった上からかぶせ捕る漁具、延縄でとるためのハリカゴ、釣具やヤスなどの突き漁具などがあり、シジミやダブガイなどの貝を捕る漁具(ジョリンや船の上から底を曳く貝曳きマンガ)もあります。

 また、トリモチをつけた藤づるを水面に流して鴨をとる流しもち漁の用具や淡水真珠養殖に使われた用具も収蔵しています。

 さらに、捕った魚を入れておく竹かご(ドンベ、ドウビンなど)、魚を活かしたまま運ぶための四ツ手桶、捕った魚を計量する棹秤、貝を炊く大釜などもあります。

 このように収蔵庫の漁具をご紹介するだけで、琵琶湖水系での漁労活動を慨観できるほど、豊富で多様なコレクションとなっています。

 これらの一部は常設のB展示室「人と琵琶湖の歴史」に展示され、博物館探検「歴史展示の舞台裏」の時には実際に収蔵庫で見ることもできます。


民俗収蔵庫には、約130点の竹製の筌があります


表紙の写真

(わな式の漁具、竹筌)
 湖岸や小川などに仕掛けて、コイ、フナ、ウナギ、ドジョウなどをとる、竹製のわな式の漁具で、モンドリ、ウエ、モジ、ノゾなどと呼ばれているものです。表紙の写真の部分が魚の入口(右の写真の上の部分)となり、入った魚は出られない構造になっています。かかった魚は右の写真の下の部分の縄をほどいて取り出し、その日のおかずとしてそれぞれの家庭で調理されました。
(撮影:内藤又一郎)

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