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特集

[collections of inspection.]

収蔵庫拝見―展示室の下に広がる世界―

資料科学芸員 中藤容子(民俗学部門担当)

 みなさんがふだん、目にすることのない博物館の最下階には、さまざまな標本や資料を収める収蔵庫がならんでいます。そこではいったいどんな光景が見られるのでしょうか。ちょっとのぞいてみましょう。

100メートル走ができるほど長い長い収蔵庫の廊下。

■広い収蔵空間

 A・B二つの常設展示と、研究ゾーンの真下の部分が、ちょうど収蔵庫の空間にあたります。その面積は、約4500平方メートルあまり。これはなんと水族展示を除く展示室の面積と、ほぼ同じ広さにもおよびます。そこに昆虫標本や動物の剥製、植物標本、化石や岩石・鉱物、ホルマリンやアルコール漬けの魚類などの液浸標本のほか、考古遺物、民具、古文書といった歴史資料などいろいろな種類の博物館資料が数十万点も収められています。

■収蔵庫の扉を開けると…

 収蔵庫によって収める標本や資料の性質や素材が異なるので、内装や棚のつくりが違うことに気づきます。開館してまだ三年しか経っていませんが、常設展示のために準備室時代から集めていたもの、企画展示にあわせて収集したもの、寄贈していただいたまとまったコレクションなどで、棚は結構いっぱいになっています。

 こうした標本や資料の保管状態を点検し、みなさんに公開するために登録番号を与え、データを入力するという地道な作業も、コツコツと行われています。

 博物館で収蔵している標本や資料の中で、実際に展示されているものは、ほんの一部だったのですね。展示室と研究室の下にあるたくさんの資料や標本とそれらを整理・保管する人々が、まさに下から展示や研究を支えていたのです。

地学収蔵庫:企画展にも展示されたゾウの歯のレプリカ標本もならぶ。 地学収蔵庫:2Fはボーリング標本でいっぱい。博物館の地下約900m分のすべて。何本かは常設展でも展示されている。

植物収蔵庫:県内の植物、2000種あまりのほとんどが、こうした状態で標本棚に入るのを待っている。 植物収蔵庫:台紙に貼られた植物標本を収納する標本棚。1つで1000~2000入る標本棚が全部で100あまり並ぶ。

液浸収蔵庫(1):作業空間も整備されている。 液浸収蔵庫で見つけた行書体の案内表示。作業する人の趣味がうかがえる。
液浸収蔵庫(1):アルコール漬けの標本が並ぶ。エビの分類作業中。 液浸収蔵庫(2):見渡す限りアユのホルマリン標本。登録済みの魚類標本は16,000あり、資料目録が刊行されている。

民俗収蔵庫(2):琵琶湖の漁労用具が2千数百点。企画展でも展示していた木造船もすべて収められている。 動物収蔵庫:オサムシを収めた標本箱を整理する。2Fの標本保管庫には滋賀県の98種のトンボなどが種別に整理されている。


地下収蔵庫の平面図

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