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 Goin' at Field! フィールドへ出よう!

おうちのお雑煮おしえて下さい!

主査 桑村邦彦(水産生物学)

 さて、お正月のお雑煮を頭の中に思い浮かべてください。それはどんなお雑煮ですか。

 ちなみに私は、白みそに丸いもち、細い大根、親芋が入り、カツオの削り節がたっぷりかかったお雑煮が思い浮かびます。

 皆さんが思い浮かべられたお雑煮も、自分ではごくあたりまえと思われているでしょう。でも他の人はまったく違うお雑煮を思っているかもしれません。本当のところはどうなのか? 知りたいと思いませんか。

 琵琶湖博物館ではタンポポやホタル、案山子、お雑煮など、地域の身近な生き物や風習、生活に関する情報を報告していただく「フィールドレポーター」という参加型調査をおこなっています。

 今回はお雑煮をテーマに、レポートしていただいた内容を紹介します。なお、集まった情報は、そのお雑煮が食された場所で湖北、湖東、湖南、湖西の4つに分け地域性を比較しました。

みそ系? すまし系?

 使われていた調味料からみそ系とすまし系に分けてみました。湖北はすまし系が67%と断然おおく、湖西はみそ系が80%と県内で地域の差が見られました。また同じみそ系でも湖南、湖西は白みその比率が高いのは京都に近い影響だと思われます。

白みそ系のお雑煮(写真提供;草津市 古谷善彦さん)
具だくさんのすまし雑煮(写真提供:栗東町 高橋勝二さん)
シンプルなすまし雑煮(写真提供:びわ町 塚田義隆さん)


お雑煮の味付け

お餅の形


 全県的に見ると丸餅が76%と主流を占めていましたが、形にこだわらず市販のものを使うと言う意見もありました。入れ方は焼いてが45%、そのままが43%で、あとはゆでてからや電子レンジでチンしてからでした。あん餅は香川県のお雑煮で、これが滋賀県で2例食されていました。

お餅以外の具

 報告の多かった具ベストテンは大根、人参、里芋などみそ系の定番に、すまし系と思われる、カマボコや鶏肉、ネギ、ミツバでした。

お餅以外の具ベスト10
1大根53
2人参46
3里いも42
4カマボコ32
5削り節30
6鶏肉23
7ネギ18
8油揚げ18
9親いも18
10ミツバ16

 報告された具の総数を報告件数で割って、具の多様さとして比較しました。湖北は餅以外には1.4種と、すましにけずりぶしのシンプルな雑煮の特色が出ていますが、他の地域は湖東4.1種、湖南4.2種、湖西3.3種とにぎやかな雑煮のようです。

地方雑煮の割合

 お雑煮は地方色が強い食事文化ですが、人の交流が盛んな現代ではお雑煮も交流していると思われます。地域別にどれだけ県外のお雑煮が食べられたでしょうか。なお滋賀県は京都の影響が強いので京都タイプは県内としました。


 湖北はほとんど地元のお雑煮でしたが、湖東、湖南、湖西の順で増えていきます。これは人口の流入がいちじるしい湖南地方を中心に全国各地の雑煮が食されているのだと思います。これらのお雑煮の出身地は北海道、青森、山形、関東、埼玉、福井、岐阜、名古屋、京都、大坂、奈良、広島、山口、香川、福岡、鹿児島で、全国のお雑煮が滋賀県内で食されている実態がわかりました。

誰のお好み?


 お雑煮をつくった人は135件中、男性は5件だけで、あとはお母さんかお祖母さんでした。ちなみに男性の例は、正月は男性がつくる風習があるとのことでした。

 一方、県外の雑煮(京都除く)を食した家の誰が、その地方の出身者か見てみると、お父さん、お祖父さんなど男性の割合が高くなっています。やはり男性は口だけ出して、手は出さないことが多いのでしょうか。出身者が「いない」場合は、テレビや本を見て全国のお雑煮をつくっているとのことでした。

 レポートされたお雑煮135件をながめてみると、つくり方、具の種類などひとつとして同じものなく、世の中には人の数だけお雑煮があることが実感できました。

 実はこの調査で一番おもしろかったのは、お雑煮エピソードでした。最後に一部ですが紹介します。

お雑煮エピソード集

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