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 Goin' at Field! フィールドへ出よう!

川や湖の魚を観察しよう!

学芸技師 芳賀裕樹(陸水化学)

 水が温み、風が心地よく感じられるようになると野外での遊びをする人たちが増えてきます。魚たちも活発に活動を始め、にぎやかな季節の到来です。今回は琵琶湖博物館が行っている魚の観察会の紹介をしましょう。

 当館では、しばしば「川の魚つかみ」という野外観察会を行います。普段は川に近づくなと言われている子どもも、その日ばかりは大人公認で川に入り、ひざまで水に浸かって魚を追い回します。他の人と違う魚を捕まえて歓声を上げる子、ザリガニがつかめずにおっかなびっくりの子、大きな魚を捕まえ「えっへん」と威張る姿が子どもみたいな大人の姿・・・。観察会が終わって皆さんが必ず言うのが「こんなにいろんな魚が(まだ)いるなんて知らなかった」ということです。まだ、といったのは大人。自分が子どもの時には魚つかみをしていたのですね(イツモ カワニ ハイッチャ ダメッテ イウノニ)。魚が潜む穴場はどこか、どこが危険で、何をやったらいけないか、子どもたちは経験を申し送りで伝えてきましたが、今はその伝承が途絶えてしまったようです。残念ですね。


「琵琶湖の魚は何を食べているか?」より(魚の腹の中を観察)

 さて、琵琶湖の湖岸を眺めると、盛んに釣りが行われています。釣れる魚はブルーギルばかりのようですが、投網を投げるとニゴイやスゴモロコ、オイカワ、カマツカなども結構とれます。これらの魚たちはどんな生活をしているのでしょう。博物館の近くで魚を捕まえて、何を食べているかを調べる観察会「琵琶湖の魚は何を食べているか」は開館前から続く人気メニューのひとつです。参加者が自分で捕まえた魚を解剖します。残酷と言われないか?というこちらの心配をよそに、皆さんがいい体験をしたと思って下さるようです。

 魚のお腹の中からは予想もつかないモノが出て感心させられることがあります。肉食魚であるハスのお腹からコアユが出たのは予想通り。でもそれと一緒に小さい黒い虫が・・・アリ?ブルーギルのお腹からはタニシのフタが出ることがよくあります。フタから予想されるタニシは、ブルーギルの口では食べられない大きさです。ひょっとしてフタだけを食べていたのだろうか、など参加者みんなで考えます。

 漁師さんからゆずっていただいたビワマスのお腹からコアユが出ました。調べていた子どもさんが茶目っ気を出して、そのコアユをさらに解剖したら、ミジンコが出てきました。ミジンコを食べたコアユをビワマスが食べる-その子は私たちの前に、湖の食物連鎖を示してくれたわけです。

 「オオクチバスはアユやモロコなど高級魚ばかり食べとるなぁ」「コイの仲間は何を食べているかわからんけど、それは咽頭歯ですりつぶしたせい。あとで展示室の咽頭歯を見に行こうか」など参加者の話題は尽きません。

 キャッチ&リリースが流行の昨今ですが、キャッチ&観察というのも大事なことだと思います。できれば「食べる」も加えたいところですね。

*「琵琶湖の魚は・・・」は7月20日に実施します。「川の魚・・・」は残念ながら今年はありませんが、企画展と関連して「食べる」シリーズが行われています。


「川の魚つかみ」より


「琵琶湖の魚は何を食べているか?」より(魚つり実習)

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