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 Goin' at Field! フィールドへ出よう!

里山の観察会から

総括学芸員 布谷知夫(博物館学・植物生態学)

 里山の樹々も彩づき始めた11月1日、琵琶湖博物館主催の里山の観察会が行われました。大津市仰木小学校前に集合し、周囲の田んぼや里山の自然を楽しもうという観察会です。地元で観察会を行っている「かわせみ自然の会」のスタッフの協力も得て、総勢25人の参加者でした。

クズのツルでカゴを編んでいます

 風もなく暖かなお天気で、観察会日和でした。集合場所の小学校前には早い時間から参加者が到着して、周囲を散策。小学校で飼育されている(?)ウサギが前の植込の中に出現、何人かで追いかけたり、落葉を拾ったりしていました。

 博物館からのあいさつのあと、観察の内容についての説明がありました。自然観察ビンゴを行おうということです。事前に下見をしてあって、そのコースで幾つかの問題を出し、3×3のワクを書いた用紙を使って、答えがあっていれば丸を書き、一列に並べばビンゴ成立というわけです。そして最初の問題は、今日一日に見ることができる花の色は、何色が一番多いでしょうか、という問題です。黄色、赤、白、青と幾つかの色の予想がされ、これと思う色を用紙の1番のところに書込んでおきます。答えがわかるのは、解散の時間になります。

これが「自然観察ビンゴ」のカード

 さて出発、集落の中を歩きながら、道ばたの草花や生け垣なども観察の対象にして、歩きます。参加者は家族づれが多かったため、あるお宅では庭におられたおばさんが、庭の柿の木からりっぱな柿をもいで子供たちにくださいました。お昼のデザートです。

 集落をぬけて田んぼの中を歩きます。先日の台風の影響か、道が崩れている場所が何ヶ所かありました。そして田んぼの横の路頭に到着、この場所からは化石が採集できます。10㎝をこえる立派な貝の化石を見つけた子供もいました。ここで化石を見つけたらビンゴは丸にします。田んぼではイネ刈り後の株から新しい穂が伸びて、もう実を付けています。普通の年はほとんどシイナで実の中はからっぽなのですが、今年は暖かかったためか充実した実ができていました。化石採集の横ではイネを摘みながらイネ作りの苦労や最近のイネの話題を話しているグループがありました。

 歩きながら出された問題は「カラスウリの種子はどんな形をしているでしょうか」、この問題には絵が準備され、その絵の中からカラスウリの種子の形だと思うものを選びます。次に出された問題は、「ヤマノイモのムカゴというのはいったい何だろう」というものです。「根? 茎? 芽? そのどちらでもない?」、いくら見ても分かるわけではありません。

 歩きながらサンショウのにおいを嗅いだり、コウゾの樹皮をはいで二人で引っ張り合って繊維の強さを確認したり、そんなことをしながら少し遅いお昼ご飯にしました。

 ゆっくりと食事をした後は、もうひとつのプログラム、クズのバスケットとリース作りです。近くの斜面をおおっていたクズのツルを取り、そのツルを編んでカゴやリースを作ります。作り方を聞いて最初はちょっと戸惑った人もおられたようですが、要領がわかればあとは簡単です。カゴを編んで中に野菊の花を入れてかざったり、小さなカゴを作って、リュックサックに取り付けて飾りにしたり、クリスマス用のリースを作っている人もいました。クズのバスケットは簡単にできるのですが、残念ながら乾燥するとツルがやせてしまうために長もちがしません。次はしっかりしたツルで作ってみようという声もありました。

イモリを見つけたぞ!

 午後からは日がかげりだしてきました。解散地点の仰木小学校前にむかって出発です。観察をしながらちょっと早足で歩きます。解散場所では最初のビンゴの答えが発表されました。記録した花の色で一番多かったのは黄色でした。ワーと声が上がりました。できあがったビンゴの多い順に手作りの賞品が渡されました。セタシジミのキーホルダーやマテバシイの笛とブローチなどです。そして3時半ころの解散になりました。

 秋の一日を、滋賀県らしい里山でゆっくりと自然の観察をすることができました。琵琶湖博物館ではこの観察会のような、地域の自然やくらしを観察する会を行っています。今後の計画はこの冊子の最後のページにあります。ぜひ一度参加されませんか。

自然観察ビンゴゲームの問題「竹の葉の先に小さな葉がたくさんついている。これはなぜ?」

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