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指定外来種・スクミリンゴガイの繁殖を滋賀県北部で初発見 発見者は長浜市木之本町の小学生

 滋賀県の指定外来種・スクミリンゴガイとその卵塊が、滋賀県の北部で初めて発見されました。発見者の上田幸之助(うえだ こうのすけ)さん(6歳)は長浜市立木之本小学校の1年生で、2022 年(令和4年)9 月 4 日、父・外志幸(としゆき)さん(45歳)と一緒に水生生物を調べるため長浜市余呉町の余呉湖の湖岸を歩いていた時、水面に浮かぶ大きな生きた巻貝と近くの流木に付着したピンク色の卵塊を発見。滋賀県立琵琶湖博物館に電子メールに写真を添付して問い合わせた結果、スクミリンゴガイとその卵塊であることが確認されました。さらに、9月10 日にも余呉湖に足を運んだ結果、卵塊を新たに3個発見し、この地域でスクミリンゴガイが繁殖している可能性が示唆されます。
 余呉湖は、これまで知られている最も近いスクミリンゴガイの生息地の彦根市から遠く離れており、人為的に持ち込まれた可能性も推測されます。「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」に違反します。
本種は水田で栽培される稲だけではなく、他の草本植物に対しても食害のおそれがあり、新たに侵入した余呉湖周辺においても、生息範囲の拡大や個体数の増加により、生態的な影響や農業への被害が発生することが懸念されます。
外来種に対しては侵入初期の発見を含め早期対応が重要です。毎日欠かさず生物を調査し新聞づくりに励む上田幸之助くんによる今回の発見は、きわめて価値の高いものです。
 なお、今回幸之助くんが採集した琵琶湖博物館に提供いただくことになり、同館の標本資料として収蔵される予定です。

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【写真】(すべて上田外志幸さん撮影・提供)
(上)水面に浮かんでいたスクミリンゴガイの生きた貝を採集し、手にする上田幸之助くん。
(中央)湖岸でスクミリンゴガイの卵塊を見つけた上田幸之助くん。
(下)新たに発見されたスクミリンゴガイの卵塊。

■滋賀県立琵琶湖博物館での展示について
琵琶湖博物館では、外来生物の啓発の一環として、近年増加している外来生物として、今年3 月14 日から「連れてこられた生き物たち」のコーナーで、スクミリンゴガイのレプリカ展示を行なっています。
展示場所:水族展示室「連れてこられた生き物たち」コーナー(常設展示)

■滋賀県立琵琶湖博物館について
開館時間:9:30 - 17:00(最終入館 16:00)※事前予約制
休 館 日:毎週月曜日(休日の場合は開館)、その他臨時休館あり。
観 覧 料:一般800 円、高校生・大学生450 円、小学生・中学生無料(常設展示)(企画展は別料金)
琵琶湖博物館は、湖をテーマにした博物館としては日本最大規模の琵琶湖畔に建つ博物館です。「湖と人間」をテーマに、琵琶湖の生い立ちや人と自然との関わりについて家族で楽しみ体感しながら学べる展示が特徴です。

■参考:スクミリンゴガイに関する基礎情報
・県内における状況:スクミリンゴガイは南アメリカ原産の淡水生巻貝で、1970 年代に減反対策として水田養殖するため台湾から持ち込まれましたが、販路が開拓できず各地で養殖が放棄されたものが野生化し、温暖な地域では増殖し、水田で栽培する稲を食害して深刻な被害をもたらしています。滋賀県でも1980 年代後半に南部の野洲市周辺で定着した後、隣接する近江八幡市や彦根市の水田地帯でも見られるようになり、2000 年代後半以降、近江八幡市以南の琵琶湖岸から瀬田川にかけて分布が拡大し、2021年度自然環境保全課が実施した「外来生物調査隊」事業でも、県北部における生息は確認されていません。暖冬が続いた後の2020 年には、県内でも本種による稲の食害が野洲市の水田で問題化しました。
・規制状況:スクミリンゴガイの分布拡大を防ぐため、滋賀県では「ふるさと滋賀の野生動植物との共生に関する条例」で、2007 年の条例施行時から、飼育に届け出が必要で、野外への放出が禁止される「指定外来種」に指定しました。また、2015 年に国が発表した「生態系被害防止外来種リスト」では「重点対策外来種」に選定されています。また、本種は1984 年に「植物防疫法」の規定する「検疫有害動植物」に指定され輸入等が制限されていましたが、2011 年には、国内で分布が拡大しまん延状況にあることから、検疫有害動植物から除外されました。

資料提供はこちら→220916_スクミリンゴガイ余呉湖で初確認.pdf