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琵琶湖岸の砂浜に45科341種の甲虫が生息することが新たに分かりました

 琵琶湖は日本最大の湖であり、全長 235km の湖岸には砂浜が広がっています。日本の中で内陸部に広大な砂浜を持っているのは、琵琶湖のみです。これまでの研究では、琵琶湖岸砂浜から 15 科 89 種の甲虫が知られていました。昆虫は種類が多いため、琵琶湖岸の砂浜に生息する甲虫類には未発見の種が多く存在していることが予想されていました。
 2020 年から 2021 年にかけて、琵琶湖岸砂浜の甲虫についてフィールド調査、琵琶湖博物館収蔵の標本の調査、文献資料の調査を行ないました。調査の結果、琵琶湖岸の砂浜には 45 科 341 種の甲虫が生息していることが新たに分かりました。琵琶湖岸砂浜の甲虫類を科別に見るとオサムシ科が最も多く、88 種で全体の 25.8%を占めました。次いでハネカクシ科が 35 種で 10.3%、ハムシ科が 26 種で 7.6%、コガネムシ科が 23 種で 6.8%、ゾウムシ科が 17 種で 5.0%の順に種数が多いという結果でした。
 琵琶湖岸の砂浜の甲虫を詳しく調べてみると、アカアシコハナコメツキなど海岸の環境を離れては生存できないとされる甲虫 3 種が含まれていました。また、海岸の砂地に多く生息するとされる甲虫のヒメカクスナゴミムシダマシ、ヒメスナゴミムシダマシなど 12 種が、湖岸の砂地でも発見されることが新たに分かりました。
 本論文の琵琶湖岸砂浜の甲虫の分布に関するデータは、琵琶湖岸の砂浜における昆虫の多様性の解明やその保全に寄与するものと思われます。

・雑誌名:日本生物地理学会会報
・論文題目:琵琶湖岸砂浜の甲虫相
・著者:八尋克郎・武田滋・大槻達郎
・発行:2022 年 12 月
・巻号:77
・ページ: 3-17

資料提供はこちら→20230209_琵琶湖岸砂浜の甲虫相解明.pdf