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江戸時代のフナズシの再現実験の成果を発表します

概要

・現在とは異なった製法とされる江戸時代のフナズシを再現しました。

・フナズシの発酵に関わっている乳酸菌叢を明らかにしました。

・サントリー財団の助成と琵琶湖博物館共同研究で行われた上記実験の研究報告会を実施します。


詳細

ナレズシとは、魚を塩とデンプンで乳酸発酵させてできる食品です。これまで篠田統氏や石毛直道氏らによって、その系譜や分布が明らかにされてきましたが、1993年に日比野光敏氏が江戸時代の料理書(レシピ本)『合類日用料理抄』の分析を行って以降、その展開をめぐる議論が活発になり、それらの内容は、橋本道範編『再考ふなずしの歴史』(サンライズ出版、2016年)としてまとめられています。

 

しかし、『合類日用料理抄』に記載された製法は、①旧暦12月に、②塩切せず、ダイレクトに、③したがって、寒鮒を用い、④頭を叩いて壊し、一匹丸ごと、⑤蒸した糯米の玄米で、⑥折敷を利用し、⑦70日目以降に喫食するといったもので、ほんとうにそのような漬け方が可能かどうかについて、市民の皆さんから強い疑問が寄せられています。

 

そこで、琵琶湖博物館では共同研究「フナズシの歴史的位置付けについての研究Ⅰ・Ⅱ―「古フナズシ」の再現実験―」(研究代表者橋本道範:2019年~2024年)を組織し、再現実験を行うこととしました。また、ナレズシのデータベースを作成し、世界史の中に江戸時代のフナズシを位置付けようとしてきました。さらに、サントリー文化財団さまより助成金をいただき、市販のフナズシの菌叢分析も行っています。

 

この度、研究が終了するにあたり、市民の皆さん向けの研究報告会を開催することといたしました。研究報告会では、これまでの研究の成果を紹介し、再現実験したフナズシが世界のナレズシの歴史の中でどのように位置付けられるのかについて考え、これからのフナズシについても意見交換をしてみたいと思います。

 

本研究は下記の助成、および共同研究のもと行われました。

・琵琶湖博物館共同研究「フナズシの歴史的位置付けについての研究Ⅰ・Ⅱ―「古フナズシ」の再現実験―」(研究代表者 橋本道範:2019年~2024年)

・サントリー文化財団2022年度研究助成「学問の未来を拓く」, 「ナレズシはいかに「洗練化」したのか―乳酸菌分析にもとづく環境史へのアプローチ」 (研究代表者 橋本道範:2022年8月~2023年7月)

 記

報告会のチラシはこちら

<日時>

2025年315日(土)133017:00

              *開場は13:00

 

<会場>

滋賀県立琵琶湖博物館 セミナー室

 

<内容>

       *発表30分・質疑10

              13:301410 「ナレズシ研究の新展開」 橋本道範(琵琶湖博物館)

              14:101450 「江戸時代から現代へ フナズシ変遷の秘密を解き明かす」

吉山洋子(龍谷大学農学部)

      (休憩:懇談)

       15:101550 「フナズシにおける優占微生物種の検討」

田邊公一(龍谷大学農学部)

       15:501630 「フナズシのいま―県民大調査を踏まえて」

柏尾珠紀(琵琶湖博物館)

       16:301650 「総評」               堀越昌子(滋賀大学)

*コメント10分・質疑10

       16:50~17:00 ご挨拶          

 

<問い合わせ先>

 〒525-0001 草津市下物町1091 琵琶湖博物館研究部 橋本道範

  077-568-4811

  hashimoto-michinoribiwahaku.jp

       「△」を「@」に変更してください。

写真5.JPG

糯米の玄米で漬けたフナズシ

写真4『合類日用料理抄』(個人蔵).JPG

元禄2年(1689)『合類日用料理抄』(個人蔵)